腕時計メーカーとして有名なゼニスの誕生。
ゼニスは時計王国のスイスでもわずか数社に限られるマニュファクチュール、ムーブメントから自社一貫製造を行う時計メーカーのひとつです。
ゼニスの歴史は1865年、スイスから始まります。
ジョルジュ・ファーブル・ジャコ氏が22歳でスイス時計の生産地、ル・ロックルに「マニュファクチュール・ド・モントル」を開いたことでゼニスの歴史は始まります。
ジョルジュ・ファーブル・ジャコ氏は先見の明のある時計職人で、その時代で最も正確で信頼性の高い時計をつくることに全力を注いでいました。
ジョルジュ氏は性能のよい時計を誰もが手にできる価格にする、との理想を掲げて製造工程の近代化を推し進めました。
この目標を達成するためには時計の製造方法を根本から覆えすことが必要だと考えたジョルジュ氏は、広く明るい建物を建設して時計製造のスペースを集結しました。
それまでの職人たちはそれぞれ離れた工房で作業をしており、お互いの結び付きが生まれることはありませんでしたが、
こうすることで時計のメカニズムを構成する部品と完成したメカニズムについての適切な点検が行えるようになったのです。
そして工作機械を製造することに成功したマニュファクチュール・ド・モントルは次々と時計機械を開発していきます。
マニュファクチュール・ド・モントルの成功は早く、創業からわずか10年後の1875年には、1,000人以上が働く大企業へと発展します。
この数字は当時のル・ロックル市の人口の約1割に匹敵します。当時は時計だけでなく、電話ダイヤルや各種のメーター類、軍事用の計測器なども生産していました。
時計の自社一貫生産システムを作り上げたマニュファクチュール・ド・モントルは成功を収め、世界各国に販路を広げました。